君が好きになるまで、好きでいていいですか?

♪~♪~♪~


マンションの部屋に着いて直ぐに携帯が鳴った

………慧ちゃん


『万由? 今どこ?』

心配そうな声がする

「帰ってきたところだよ。」


『雨、降ってたの気が付かなくて………濡れなかった? タクシー乗れた?』


「……………う、うん。雨降る前にタクシーに乗ったからセーフだったよ。大丈夫」

『…………そう、良かった。』


「……………」


『万由、色々気が付かなくてごめん。今度来る時までに全部片付けておくから………』

後藤が言った通り、ただ無頓着なだけなのかもしれない


「私もごめん。わがままだった。今度は慧ちゃんの好きな物作ってあげる。何がいい?」

そうだなぁ、といつもの口調に戻った慧斗にホッとする。


『昔、万由の家でよく食べた、ひき肉入りオムレツとシチュー』


「ふふっ、分かった」


そういえば、慧ちゃん好きだったもんなぁ


『万由、明日の土曜日曜は用事が入ったから会えない。』

「うん、分かった。じゃあまた電話するね」

慧斗のその言葉に、正直ホッとした。イラついてつい和音さんへの不満を口にしてしてしまった事を後悔していたし、今タクシーで帰ってきたとついた嘘が後ろめたかった。

『じゃあ………またね、万由。おやすみ』

そう言われて、静かに電話を切った。










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