君が好きになるまで、好きでいていいですか?
中学や高校で、彼女に目をつける奴らもいなかった訳じゃない。

駅で待ち伏せされ、男と帰って来た時もあった。

でも、そんな奴らはちょっと脅したらシッポを巻いて逃げて行く。

一度はグレかかった俺だった、そうゆうツテはいくらでもある。



そうやって、大事に見守ってきたんだ。

勿論、万由が俺を好きでいてくれているのも分かっていた。

分かっていて、敢えて付き合わなかった。

恋愛ってものは、ちょっとすれ違うと直ぐに壊れるもんだから………

十代では、それが簡単に一生の別れになってしまう。


万由と付き合って、結婚して、家庭をつくって、幸せになりたかった。

常に笑顔で彼女と笑い合う未来、それを俺はずっと望んでいたんだ。


「………タイミングを間違えたのか?」




和音に関わった物を部屋中で見渡してみる

万由が指摘したとおり、いつの間に増えていた和音の私物

気が付かないもんだよなぁ…………


その時、また携帯のバイブが鳴った

bububu………



「……………………和音?」



『……………』

着信名が出ている電話の向こうの相手は、声を出さないでいた。

慧斗が深い溜め息をする。

「万由なら帰ったよ。お前、また酒飲んでるだろ」



『…………っお泊まりじゃなかったの?』


「そう思ってて何で電話かけてくんだよ」


『……………』



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