君が好きになるまで、好きでいていいですか?


「………ダメだ、部屋には万由がいる」


「クックッ…………じゃあダメじゃん。帰んなよぉ。お幸せにぃ~」

そう言って手を振る和音を、無理に彼女の部屋まで送っていった。

部屋に着くと、もういいからと目の前でドアが閉められた

「………………和音」

ドア越しに名前を呼ぶと、暫くして玄関が開いた


「一人は嫌だ……」と顔を涙でくちゃくちゃにした彼女が胸の中に飛び込んできた

そのまま部屋に押し入り、長いキスを交わした

そして、彼女が寝入るまで傍に居て

その後、コンビニに寄って万由が居る自宅の部屋に戻った。




その後も、続く和音の飲み歩き

そして、そのたび酔っ払った和音からの何度も鳴る携帯の着信

「宮下、お前はもう迎えにくるな。俺がそのまま椎名の部屋に送って行くから」

そう言ったのは同期の町田

町田は、入社当時から和音が好きだったのは知っている。


分かってる、そうした方がいい事くらい

俺に和音を迎えにいく権利が無いことくらい

なのに………

『万由………ごめん。会社の奴が飲み潰れて帰れないからここに連れて来るって………』


結局俺はどっちつかずのまま

『仕事から帰って、万由が家に入ると嬉しいよ。いつでも来て。』



いつか、天罰がくだる

< 68 / 333 >

この作品をシェア

pagetop