君が好きになるまで、好きでいていいですか?
「あの、宮下慧斗さんいますか?」
普通の会社だったら、もうとっくに定時で人が少なくなっている時間なのに、慧斗の会社は明かりがしっかり着いていた。
「あれ?あんた宮下の………」
慧斗の会社に顔を出し万由
慧斗の部屋にいった時、合鍵を忘れた事に気がついて、どうしようと思ったが寄ってみた。
メールはしたが、見ていないらしい。
総務とか、対応する人はいないみたいで、取り合えず近くにいた人に声をかけると、この前居酒屋で万由をなじってきたその人だった
「あの…………」
どうしよう………あの怖い人だ
万由を見たその人が、頭を掻きながら軽く下げた
「この前は、悪かったな。酔ってて…………申し訳ない。」
「いえ、慧ちゃ………あ、宮下さんは?」
「宮下ならまだ出先だけど……あ、もうすぐ帰ってくるだろ」
なんだかそこで待つのも居心地悪いし、もうすぐ帰るなら
「じゃあ、外で待ってます。」
そう言って扉を出ようとした時、その人にまた呼び止められた。
「……………あんた、宮下とちゃんと付き合ってるのか?」
「……えっ?」
「いや、椎名が宮下を忘れられないのは分かるけど、宮下が椎名にかまうのも、どうかと思って」
「かまう?」
ああ、言い方が悪かったな、と口を押さえて考えながらそう言う
「椎名が飲み過ぎると、まだ宮下がちゃんと迎えに来るし、この前の金曜日も結局宮下が迎えにきて、二人で帰っていったから」
……………えっ?
「俺、あの日はあんたと宮下が一緒だからさすがに、と思ったんだがいつの間にか居た宮下が椎名を連れて帰っていったから…………」
「………………」
金曜日に…………?
ざわざわと嫌な不安が沸き上がってくる