君が好きになるまで、好きでいていいですか?


眉間に皺を寄せる万由に、追い討ちを駆ける様な一言をその男が呟く


「あいつら、本当に別れたのか?」




そんなこと、あるわけない。だって、慧ちゃんちゃんと『和音とは別れた』っていったもん

「……………」



「万由?」

出先から帰って来た慧斗が、扉ごしに万由を見つけて、急いで近づいて来た

「どうしたの?こんなとこまで………」


「…………慧ちゃんとこ行こうと思ったら、カギわすれちゃったから」

そう言って慧斗を見上げると、その肩越しに和音の姿を見つけた。

一緒に出掛けてたんだ…………


和音がそのまま、万由を通り過ぎていく


「……………」


「万由ごめん。今日は、遅くなるから…………
うちに帰ると、万由の終電が無くなるし、今日は、帰りな。ね」



「…………泊まってっちゃダメ?」

「まっ万由っ!」

万由が言った言葉に、近くにいた同僚たちがニヤニヤと冷やかす様に見てきた

「とにかく出よう。」

そう言って背中を押された。

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