君が好きになるまで、好きでいていいですか?

「色男ぉ~!帰っていいぞぉ期限間に合うならなぁ~!」


そう冷やかしてくる先輩らしい人に眉を歪ませながら

「勘弁してくださいよぉ、ちょっと駅まで送ってきます。」

そう言って押される様に外へ出された




少し前を歩く慧斗の後を早歩きでついていく万由。
さっさと行ってしまう、その腕の袖を掴んだ

「…………慧ちゃん、ごめんっ」

そう言う万由の声で、足を止める

はぁっ……と溜め息をついて万由を見直す慧斗

「来るときはメールか電話するって言ってたよね………」


静かに声を出す慧斗に俯いて答える

「…………メールしたよ」

それを聞いた慧斗が携帯を見る


「……………ああ、本当だ………」


また、万由の前でごめんと、溜め息をついた

「仕事、忙しかったんだぁ………慧ちゃん晩御飯は?」

再び歩き出した慧斗の後ろから話かける
「コンビニで弁当買って食べるよ。いつもだから」

そのまま、慧斗の隣に小走りで行った

「………じゃあ、今度お弁当作って差し入れして………」

「会社には来なくていいよ。先輩たちにいろいろ言われるから」


「…………」

駅までの道のりの中で、会話が途切れ途切れになってしまう。

隣で歩く万由がピタリと足を止める

「どんなに遅くなっても、あの人は迎えには行くのに……………?」


一歩前に出た慧斗もすぐ止まって万由を見直した

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