君が好きになるまで、好きでいていいですか?

「なに?」

一瞬、顔を引いて俯いた


「会社の人が言ってたの、あの人が飲み過ぎると慧ちゃんがまだ迎えにきて送って行くって…………」


「………町田か?あいつは和音が好きだから勝手なこと言ってるだけだ。」


何と無く不機嫌な素振りを見せる慧斗


「でも、じゃあっ金曜日はっ?! その日も迎えに来て連れて帰ったって、私が帰ったから行ったの?」



喧嘩したい訳じゃない。けど気になる………

「……………別に送って行っただけだよ。あいつはすぐ周りに合わせて飲むから。それにうちの会社のヤローばかりの中だろ………」


「でも、だからって…………」

なんで別れた慧ちゃんが迎えに行くの……?


「じゃあ……………万由は?」

「えっ……?」

「万由はなんでタクシーで帰ったなんて嘘ついたの?」

「へっ?! なん……で………?」


慧斗が小さく息をついた

「あんなに雨が降ってきて気づかない訳ないだろ、すぐ万由を見つけたけど、丁度車に乗るところだった」

見てたんだっ………


「でもっ………ただ送ってもらっただけでっ」

「万由の一人暮らしのマンションまで? 
万由のことが好きな男の車に乗ってか?」


「別にっ…………!」

何もない、本当に送ってもらっただけだし

「そのまま、うちに戻ってきたらよかっただろ? 着替えだって置いてあるんだから」


「……………っ」

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