君が好きになるまで、好きでいていいですか?

 


 『万由優先~』



歩美さんと、そんな事言ってた時は気がつかなかったけど…………

たぶん、私は欲張りなんだと思う。

『万由優先』じゃなきゃ納得できないんだと思う、割と面倒くさい奴なんだと思う。




「おはよう。今日は暗いね。」


今日の天気は、またひと雨きそうでどんよりしている。

そして、何度も何度も溜め息をついている私。



「…………おはようございます。って話し掛けないんじゃなかったんですか……?」


幾分不機嫌な顔を隠さないまま、そう後藤に言ってみた


「こんな朝早くから、誰も来ないだろ?」

万由とは反対に、爽やかな笑顔を見せながらベンチの隣に座る


「……………」


「……………」


不機嫌な空気を察してなのか、暫くの沈黙が流れる

はぁっ…………と、徐に万由が大きな溜め息をした

後藤は、目を合わせようとしない万由に視線を向ける


「……………溜め息って、幸せが逃げるどころか、自分の精神を安定させるための本能的な行動だって知ってた? それを意識的に出すって事は悩み事を何とかしてくれって言う意思表示だと思うんだけど………」


「違います」


「俺が介入出来ない溜め息?」


…………むしろ貴方が現況みたいなもんなんですけどっ!

顔すらも後藤の反対へむけ、少し苛立ちがつのる。
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