君が好きになるまで、好きでいていいですか?
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幾分、不機嫌な万由を気にしなから屋上を後にする
また、何かあったんだろう………
やっぱり彼女の頭の中は彼の事ばかりで、
俺の入り込む余地は無いんだろうなぁ………
「佳樹さん………」
部署に帰る途中の階段で待ち構える様に佇む女性
「…………おはようございます。山吹さん」
秘書課の山吹薫(やまぶきかおる)
「こんな朝早くから出社されてたんですね。屋上にはどんなご用だったのかしら」
「朝の空気を吸いに………気持ちいいですよ」
そう、爽やかな笑顔を見せる後藤
「こんな天気の悪い日にですか?」
逆に、彼女の笑顔は少し引きつっていた
その表情に、困った顔を向ける
「何か、用事ですか?」
「…………そんな事…………どうして、断ったりしたんですか?」
薫の表情が変わり、眉を歪ませて後藤を見上げる
「あなたに悪い話では無いじゃないですかっ! 私は今…………貴方しか見てないんです。」
「……………」
先週山吹常務に呼ばれ、彼女山吹薫との縁談の話を促された。
それを丁重にお断りした
山吹常務は、このAsano テクノロジー科学工業株式会社代表取締役社長、
浅野龍成(あさのたつなり)の弟嫁の兄で、
薫はその娘