君が好きになるまで、好きでいていいですか?


なんだ…………あの人ああゆう事誰にでもするんだ


屋上から戻る途中に見てしまった山吹薫と後藤の仲睦まじくしている光景

さっき暖かかった後藤の大きな手は今、彼女の頭を優しくなでている


「…………」

少し複雑なその気分を打ち消しながら、二人がその場を離れるのを待った






それから何日か、昼休みにあった慧斗からの電話かが来なくなった

「メールはたまに、近況報告のようにくるんだけど…………」


「会ってないの?」


「この間ご飯だけ食べにいった。うちの会社の近くで」

その後結局慧ちゃんの携帯が鳴って仕事に戻って行ったけど…………


「今日の事は? 前なら万由が飲みに行くの必ず報告してたじゃん」


歩美さんと二人で会社の近くの居酒屋に飲みに来ている


「今日はメールもしてないから………」

万由のその言葉に歩美が顔を歪める

「もしかして、釣った魚に餌をやらないタイプ?ってか、幼馴染みの時の方がマメっておかしくない?」



「………たぶん、この前和音さんの事悪く言っちゃったから」

「そんなの彼女として、当たり前じゃないっ!」

暫く表情の暗い万由に、溜め息をつく歩美


♪~♪~♪~


万由の携帯着信がなる

それを見て万由の表情は一気に明るくなった


「慧ちゃん?」

席から離れるわけでもなく、その場で電話を取った


『万由?なんだか騒がしいね。そこどこ?』

「あ………歩美さんとご飯食べに来てるの」

居酒屋で………とは言わないんだと、
向かい合いにいる歩美がボソリッと呟く


『そうだったんた。いや、別に今日何してるのかと思って。ここのところ忙しくてあんまり会えないから………』


「もっと早く言ってくるたら、そっちに行ったのにぃ」

電話で話すだけなのに声が弾む万由

おーい私との今日の約束は朝からしてたでしょぉっと小声でチャチをいれる歩美

『いや、俺はまだ仕事が終わらないから今日は無理なんだけどね』

「え、あっ……そうなんだ」

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