上司がキス魔で困ります
「ご挨拶が遅れました。先日から彼女とお付き合いさせてもらっています。音羽良悟と言います」
その様子はこの不穏な空気の中でも礼儀正しく、どこからどう見てもキチンとしていたと思う。
だけど蘭ちゃんは眼光鋭く良悟さんを見つめ、それから玄関を指差す。
「何処の馬の骨だかわからない男にお兄さんと呼ばれる筋合いはない。出て行きなさい」
「蘭ちゃん!」
いくらなんでもそれはひどい。
とっさに蘭ちゃんに飛びついて、両腕をつかんでいた。
「確かに言わなかった私は悪いよ、だけど良悟さんはちゃんと挨拶したじゃない、そんなひどい言い方しないで!」
けれど蘭ちゃんは譲らなかった。
私の肩に腕を回し引き寄せると、良悟さんに向かって、もう一度言う。