上司がキス魔で困ります
「俺は今ものすごく怒っている。妹の言い訳は今から聞くつもりだけど、君が真面目に付き合ってるつもりなら、今日は俺の話を聞いてとりあえず帰ったほうが得策だと思うよ」
「なっ……蘭ちゃんの分からず屋っ!」
離れようとすると、ぐっと蘭ちゃんの腕に力がこもる。
「めぐちゃん、俺をこれ以上怒らせないで」
「……っ……」
地の底から響くような蘭ちゃんの声に、反抗心がポキリと折れる。
「春川くん」
背後から聞こえるめぐじゃない、春川くんに、涙が出そうになる。
「……ごめんなさい。今日は帰ってもらってもいいでしょうか」
泣きたいけど泣いたらきっと心配をかける。
きつく唇を噛み締めて、それから良悟さんに向き合い頭を下げた。
この場を収めるにはそうするしかなかったから……。