上司がキス魔で困ります

 良悟さんが見えなくなるまで手を振って、それから「ふーっ」と大きなため息をつき、マンションに戻る。


 これ、仕事よりすごいプレッシャーかも……。


 蘭ちゃんはソファーに座って長い足を邪魔そうに組んでふんぞり返っていた。相変わらず怒りのオーラが彼を包んでいる。


「蘭ちゃん、あのね……」
「とりあえずここ座って」


 蘭ちゃんはまっすぐ前を見据えたまま隣をバシバシ叩いた。


「はい……」


 そもそも蘭ちゃんの目を欺くことなんて不可能なわけで。そして大事な兄にこれ以上嘘を重ねるのも後ろめたい。

 聞かれたことにはだいたい素直に答えるつもりで、蘭ちゃんの隣に腰を下ろした。




< 126 / 188 >

この作品をシェア

pagetop