パンプスとスニーカー
 詮索するつもりではなかったけれど、やはり気にならないといったら嘘になる。


 彼女のフリをして、友達だった時にはまったく気にならなかったことが、こうしてカレカノと名前を変えただけで、どうして気になってしまうのだろうか。


 それでも、武尊にヤキモチ妬きだとは思われたくなくって、何食わなさを装ってしまう。




 「ああ、いや、みー姉…あ、二番目の俺の姉貴ね。その姉が、あそこのテリーヌが好きでさ。西麻布の方に何度か通ったことがあるんだよ」




 そういえば、武尊には一佳の下にもう一人姉がいるのだったか。




 「俺はだいたいいつも定番のヤツばっかだから、ひまと半分こして食べたのが初めてだったけど、そう悪くなかったかな」




 大絶賛のひまりとは真逆に近く、かなり微妙な評価な気もするが、たしかにああいうメニューは女性向きだな、と聞き流す。


 それよりも、




 「お姉さんとも半分こして食べたりしなかったの?」

 「姉貴と?ひまは、お兄さんや弟とそういうふうに食べあったりするんだ?」

 「う~ん」




 自分はどうなのかと尋ねられると…、




 「そもそも、ああいうオシャレなお店に、お兄ちゃんや弟たちとは食べに行っりりしたこと自体ないかなぁ」

 「……なるほど」




 それぞれの家庭による習慣や常識の違いに、驚いたり感心したり、あたりまえのことが互いに新鮮だった。




 「さて、なにを見よっか?」

 「え?あ……ふわぁ」




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