パンプスとスニーカー
 柔和な表情の老婦人とは裏腹に、隣の姉の様子はいかにも腹立たしげで刺々しい。


 よくよく見なくても、一見穏やかな佇まいの祖母の様子も、どこかしら鬼気迫るものがあると思うのは武尊の疚しさか穿すぎだろうか。


 …いや、たぶん、このタイミングでってことは。


 「あんたがいくらウチに呼び出してもちっとも帰ってこないから、こんなところに来る羽目になったわよ」

 「一佳」




 つい興奮に声が大きくなりがちな孫娘を老婦人が制する。




 「だって!こいつのせいでいらぬ気苦労かけられっぱなしなんですよっ!」

 「人目もあるだろ?」




 とりあえず祖母の加勢があるうちにと、姉の気勢を削ごうとするも完全に裏目に出てしまう。




 「ふざけないでっ。マンション行けば、いつでも留守!大学で待ち伏せしようにも、あんたは逃げ回ってばかりでお話にならないし、やっと出てきたと思ったら、なんなのよ、あんたのその反抗的な態度」




 言われなくても自覚がないわけじゃない。

 が…、ここはフテ腐れでもしなければやってられないではないか。




 「カード止めるとか、仕送りを中止するとか、脅して呼び出して置いてよく言うぜ」





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