探偵の彼に追跡されて…
…冷たくて気持ちが良い…

額に冷たいタオルが置かれた。

美野里はうっすら目を開ける。

…う…ん…沙汰郎…

「美野里?大丈夫?何か飲むか?」

「……どうして?」

居るはずのない沙汰郎が居た。

「事務所も美野里の携帯も電話しても出ないから、渉に電話したら倒れたって」

「ちょっと風邪ひいただけ…それより鍵は?」

鍵はちゃんと閉めたはず。

「大家さんのお婆ちゃんに開けて貰った」

「ああ…お婆ちゃん…」

またかぁ…

「美野里、何か食べるか?」

「要らない…」

「薬は飲んだのか?」

「うん。飲んだよ」

「何か欲しい物はないか?」

「大丈夫。渉君が色々買って来てくれてるから…」

「美野里?うちに行こう?ここだと冷蔵庫も小さいから氷も入れられない」

「ううん…ここで良い。沙汰郎、もう大丈夫だから帰って」

「美野里…」

「ごめん…ゆっくり寝たいの…」

「分かった。じゃ何かあったら電話しろよ?直ぐに来るから!鍵は閉めてドアのポストに入れるから」

美野里は「ありがとう…」と言うとそのまま目を閉じた。

暫くすると鍵がポストに落ちる音がした。

沙汰郎ごめん…
今は沙汰郎と一緒に居たくないの…
ごめんね…




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