探偵の彼に追跡されて…
所長室から戻り自分の席で頭を抱えていると、【WSHI法律事務所】の依頼で浮気調査に行っていた渉君が帰って来た。

飛び込みで来るお客さんはまず居ないから【WSHI法律事務所】からの仕事場がないとうちはやっていけない。

「美野里さん? どうしたんですか? 具合悪いんですか?」

「ある意味そうかも… 頭痛い… ハァ…」

大きな溜息をついた私を慰めるかのように渉君は

「美野里さんの好きな苺のショートケーキ買って来ましたよ! 一緒に食べましょう?」

と、トンと机に箱を置いた。

私は顔を上げると可愛いリボンが結ばれた箱。

「あっキュルルのケーキ」

私はここの苺のショートケーキが大好きなのだ。今まで頭を抱えて居たのが嘘みたいにテンションが上がる。

「コーヒー入れるね?」

私はスキップしてるかの様に弾みながらコーヒーを入れに行く。

この事務所には一般的な会社にある給湯室ではなくキッチンルームと言ったほうがいい、広いキッチンなのだ。

広いキッチンには一般家庭に有る物、いやそれ以上に揃っている。勿論所長が買って来たコーヒーメーカーも置いてある。

「キュルルのケーキだもんねやっぱりドリップしようと」

やかんでお湯を沸かしてる間に豆を挽く、私は鼻歌まじりでコーヒーを淹れている事に可笑しくなる。

「所長にも入れてあげよう。」

温めたカップにドリップしたコーヒーいれ砂糖と温めたミルクをトレーに乗せて持っていく。

コーヒーを運んで行くと既に渉君が所長に声を掛けたようで所長もソファーに座っていた。

渉君にはコーヒーとスティックシュガー1本、所長にはコーヒーに温めたミルクを入れスティックシュガー2本入れる。所長のはコーヒーと言うより珈琲牛乳だと思う。
 
「美野里さんは苺のショートケーキですよね?」

と、言って渉君はお皿に苺のショートケーキを乗せてくれる。所長は栗のモンブラン、渉君はガトーショコラ。いつもと一緒でクスッて笑ってしまう。

「有難う。美味しそう。」

私がショートケーキの上の苺をお皿に避けてケーキを食べ始めると決まって所長が手を伸ばしてくる。

「苺食べないなら頂戴?」

「ダメ! 最後に食べるんですから!」

「ケチッ!」と口を尖らせる。

33歳の妻子持ちがよその女の人に口を尖らせるて『ケチッ!』って… 無いと思う。

渉君はクスクス笑ってる。

「で、どうして美野里さんは頭を抱えてた…」

「馬鹿! 渉!」

所長は慌てて渉君を遮ろうとしたが時すでに遅し!

「渉君! 聞いて! あのね」

私はワンピースの値段が余りにも高かった事などを話した。




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