探偵の彼に追跡されて…
✻✻✻

あれから2週間が過ぎた頃。

ピンポン♪ピンポン♪ チャイムが鳴る。

「宅配便でーす。」

「はーい。ご苦労様でーす。」

宅配便は母からだと思っていた。他に送ってくれる人を知らないから。

私は何だろうと胸を弾ませ包装紙を開き箱の蓋を開けると、先日久しぶりに出かけたデパートで私が手に取り買おうかどうしようか迷っていたコーヒーカップ。

「えっ?… どうして…」

送り主は母だと思っていたが違った。送り状の送り主欄には私の名前が書いてある。でも、私じゃない。

それから静かだった自宅にとうとう電話が鳴り始めた。

今度は無言電話ではない。朝は『おはよう』仕事から帰ってくると『お帰り』

どうして… 今までは電話が掛かってきても無言だったのに今度は違う。先日の宅配便といい何かヤバイ気がする。



✻✻✻

事務所の電話がなる度に私はビックと驚き直に電話に出る事が出来なくなってしまっていた。

それを見ていた所長に「美野里ちゃん?」と声を掛けてくれたが私は聞こえていなかったらしい。肩を叩かれやっと呼ばれていた事に気づいた。

所長は私の隣に幸子さんの椅子を持って来て背もたれを跨ぐように後ろ向きに座った。

「美野里ちゃん。ちょっと話そうか?」と所長は私に微笑みかける。

「自宅に電話が掛かってきてるよね?」

所長は椅子の背もたれに頬杖をついて「ほらほら恥ずかしがらずに」と巫山戯る様に言うが、瞳は笑っておらず所長が真剣だとわかる。

「実話……」

私は所長に自分の名前で宅配が届いた事や今までの様に無言電話ではなく相手が声を発するようになった事を話した。そして話し終わる頃出掛けていた筈の渉君が隣の機材部屋から出てきた。

「所長。現像終わりました。」

あれ? 渉君帰って来ていたの?

渉君が出て来た機材部屋は8畳程の部屋で以前は渉君が寝泊まりをしていた部屋で、今は一眼レフや盗聴器やら怪しい機材が沢山ある。

その盗聴器や隠しカメラの殆どが渉君が作った物。

渉君はもともと手先が器用らしくスパイ映画で出てくる様なペン型やプローチ型のカメラや盗聴器など作っている。

以前、渉君は

『高校生の時、所長に拾われて大学まで出して貰った。今の俺があるのは所長のお陰。だから色々作って少しでも所長に恩返しをしたい』と言っていた。

そしてその部屋で写真の現像も出来るようになっている。





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