探偵の彼に追跡されて…
所長から煙草の臭いがする。所長は私や幸子さんの前では気を使っているのか煙草は吸わない。いつもビルの外階段で吸っている。

所長は私が落ち着いたのを確認すると私の目を見て諭すように言う。

「今から警察を呼ぶ。警察では辛い事を聞かれるかも知れない。でも俺が側に居るからね? 大丈夫だよ」

「しゃ…写真…スマホの写真も見られ…ますか?」

所長は床に落ちていたスマホを拾うと「これ?」と首を傾げ私が頷くと所長は怒りをぶつける様に叩き割りシンクの洗い桶に水を貯めそこへそのスマホを放り込んだ。

すると渉君に取り押さえられていた鶴見君は

「証拠写真を処分してくれるとはね? 有りがたい事だ!お礼を言わないとな?」とせせら笑う。

それを見た所長は急に殺気立った顔に変わり鶴見君の胸ぐらを掴み一発そしてもう一発と殴った。

こんな鬼の形相の所長を見たのは初めてだ。

いつもは甘いマスクで子供のように微笑む所長がこんな顔をするなんて知らなかった。

「痛っ何するんだ!暴行罪で訴えてやる!」

「なんだと!?」

「所長!!」

もう一度殴りかかろうとした所長を止めようと私が叫ぶと同時に渉君が所長を制した。

そして

「暴行罪ってなんの事?」渉君がすました顔で言う。

「なっ…今、彼奴が俺を殴ったじゃないか!」

「あんた俺達が駆けつけたら慌て驚いてひとりで勝手に転んだんでしょ?」

「なに!?」

「それから、あんたのした事はここにちゃんと録音してあるよ!」

渉君はポケットからICレコーダーを出しボタンを押す。

そこには鶴見君から掛かってきた電話の受け答えをしている私の声から鶴見君が私に乱暴してる間の全てが録音してあった。

「どうして…」と鶴見君は驚いていたが直に観念した様で力なく崩れ落ちた。

それから警察官が来て項垂れる鶴見君を連行して行った。





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