探偵の彼に追跡されて…
「これからはひとりで買い物に行っちゃダメですよ!? 使わない物買って来ると勿体無いですからね!!」

「はーぃ…」

私に怒られてしょんぼりしている沙汰郎が可愛い。

「じゃーもう少しだけご厄介になります。今日は何か美味しい物作りますね?」

「うん! そうと決まったら買い物へ行こう!」

ヘルメットを持たずに玄関を出たから近所の食品スーパーへ歩いて行くと思ったのだが…

「この車どうしたんですか?」

「朝、奥親子に持って来て貰った。買い物へ行くのにバイクより車の方が便利でしょ?」

確かにバイクだと買える量も大きさも限られてきてしまうから車の方が便利だけど…
それにしてもこの車…

「この車って誰のですか? 奥さんのじゃ無いですよね?」

車の先端に輝く三本の光芒は私でも知ってる高級車。

「うん。俺のだよ。普段乗らないから実家に置いてあるんだ」

「もしかして…これも車屋のお兄さんが良い車だよって言ったから買ったとか言います?」

自分で聞いておいて沙汰郎の返事を聞くのが怖い。

「まさか」

良かった。

「カッコイイ車って言ってた!」

「………」

聞くんじゃなかった…

「冗談だよ! これはね、亡くなった父が好きだった車なんだ。スリーポインテッド・スター、三つの頂点を持つ星形。『三本の光芒は陸・海・空の各分野を制するって思いのエンブレムなんだぞ!』って子供の頃良く父が話してくれたよ」

沙汰郎はその頃を懐かしむ様に話してくれた。

お父様の車なんだ…
なんだかジーンときちゃうなお父様の車を今でも大事にしてるなんて…
沙汰郎、あんた良い息子だよ!




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