ティアラ
直子はホームにある電車の時刻表を見ながら、さらりと告げてくる。

……直子の言う通りなのかもしれない。

確かに、あの男にそこまでさせたのだから「あたしの勝ちだ」と言ってもいいだろう。

どんな形であれ、謝ってきたのは事実。

仕返しを始めた頃は「どんな方法を使ってでもひざまずかせる」とまで思っていたんだし、彼が土下座までしかけたのだから、もう復讐をする必要はないのかもしれない。

だけど、全然、嬉しくなかったの。

冷たく「迷惑なんだよ」って言われたとき、なんていうか……悲しい気持ちになった。

そんな言い方しなくてもいいじゃない、ってムカついたりもした。

やっと謝らせることができたのに、満足な気持ちにはなれなかったの、全然……。
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