次期社長の甘い求婚
「やだ、どこいっちゃったんだろう」


涙で視界が霞み、夜ということもあってよく見えない。

手探りでハンカチを探していると、急に頭から被せられたものによって、視界が真っ暗になる。


「きゃっ!? 」


驚き声を上げた瞬間、腕を掴まれ無理やり立たされてしまった。

膝の上に載せていたバッグがアスファルトの上に落ちていく。


びっくりしたまま掴まれていない手でジャケットを退かし、腕を掴んでいる人物を確かめる。


「――え、どう、して……?」


唖然としてしまう。

だって目の前に立ち、私の腕をがっちり掴んでいたのは、神さんだったのだから。


「どうして、じゃないだろ?」


しかもいつになく余裕のない表情で、私を見つめてくる。


「なにやってんだよ、こんなところで」


それはこっちの台詞だ。
どうしてここに神さんがいるの?
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