次期社長の甘い求婚
心の中で訴えるように呟きながら庶務課へ急ぐ。


「おはようございます」


挨拶をしてオフィスへ足を踏み入れるも、やはりここでも視線が突き刺さって痛い。

と言っても、いつもより出社時間が早いせいか、まだ三人しか来ていない。


「あの、どうかされましたか?」


さすがに今日も一日一緒に働く仲間にまでジロジロと見られたら、やりづらい。

意を決しいまだにポカンと私を見る先輩のひとりに声を掛けると、ハッとしたように声を荒げた。


「ごっ、ごめんごめん! いや、あまりに小野寺さんが綺麗だからさ、見惚れちゃって」

「……え」


意外な言葉にドキッとしてしまう。


三十代後半になる男性社員の先輩は、照れ臭そうに頭を掻いた。


「でもいいと思う。小野寺さんっていつも動きやすさ重視って感じの服装だったじゃない? すごく素敵だと思うよ。っとと、これじゃセクハラになっちゃうかな?」


「あっ、いいえ。その……ありがとうございます」


伝染するように、こっちまで照れ臭くなって俯いてしまう。
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