次期社長の甘い求婚
「なによ、どういう風の吹き回し? 急にオシャレしちゃって」

「いや、これにはちょっと事情があって……」


なにから説明したらよいのか分からず、言葉を濁してしまう。


「あとで詳しく話すから。……それでさ、神さんって今は外出中?」


亜紀越しに営業部内のオフィスを見回すも、彼の姿が見当たらない。


「え、なんで今さらここで恭様?」


さっきよりも驚き、亜紀の目は点状態。


それもそうだよね。
あれほど勧めてきた人を一喝した私が、今こうしてその本人を探しに営業部まで訪れたのだから。


「それも含めて今度ゆっくり話します。……で、神さんは?」


逸る気持ちで問いかけると、亜紀はオフィス内にあるホワイトボードへ視線を送った。


「あ、えっと……確か今日は終日外回りだったと思うけど……うん、やっぱりそうだ」

「……そっか」


そうだよね、ホテル出た時間も早かったし。

けれど、ここに来れば会えるかも……と思っていた分、ガッカリ感は拭えない。
< 123 / 406 >

この作品をシェア

pagetop