次期社長の甘い求婚
その言葉通り、すぐに辿り着いた駐車場。

ある一台の車の前で立ち止まると、素早くロックを解除し、助手席のドアを開けてくれた。


「走らせて悪かった。……どうぞ」


上がる息を整えながらも、言われるがまま乗るわけにはいかない。


突然現れてから、流されるようについて来てしまったけれど、車という密室空間でふたりっきりになるのには、ちょっと抵抗がある。


「あの、すみませんが……」


やんわりと断ろうとしたものの、すぐに神さんが声を被せてきた。


「俺に話があるんでしょ? 会社じゃもちろん、ここは社員達がよく通る場所で話せないし。それに俺も美月に話があるから、できれば乗って欲しいんだけど」


決して無理強いはされていない。

なのになぜだろうか。乗らなくてはいけないという使命感に襲われてしまうのは。


昨夜のことがあったから? 謝罪してお礼を言いたかったから?


一瞬戸惑うも、いまだにドアを開けて待ってくれている神さんを前に、“乗れません”とは言えない雰囲気だ。

やっぱり昨夜のこと、ちゃんと話したいし。


「えっと……失礼します」
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