次期社長の甘い求婚
覚悟を決め、もたもたしながらも助手席に乗り込むと、神さんはそっとドアを閉めてくれて運転席に乗り込んだ。


「とりあえず出るね」

「あっ、はい」


エンジンをかけると、すぐに車は発進された。



車を走らせること約十分。

車内には洋楽の音楽が流れているものの、神さんももちろん私も口を開くことなく静かな空間。


あまり車に詳しくないから分からないけれど、座席の座り心地は抜群。加えてエンジン音も静かで、微かに感じる振動が心地よい。


チラッと右を向けば、運転に集中している神さんの横顔が目に飛び込んでくる。


最初から神さんはかっこいい人だと思っていた。

けれど車を運転する姿は二割り増しでかっこよく見えてしまう。


緊張も次第に解けていき、冷静になればなるほど不思議な気分だった。


周りがどんなに騒ごうが、彼に興味を持たれようが、神さんには一切興味がなかった。

それなのに今は、こうして彼が運転する車の助手席に乗っているなんて――。
< 132 / 406 >

この作品をシェア

pagetop