次期社長の甘い求婚
それを言われてしまうと、なにも言えなくなってしまう。


「それは本当にご迷惑おかけして、すみませんでした」


深々と頭を下げて謝罪すると、神さんはまた笑い出す。


「いいよ。あんな迷惑なら、いくらでもかけられたいし。……素の美月が見られて嬉しかったよ」


顔を上げれば、目を細め私を見つめる神さんと視線がかち合う。


「泣いている美月も、酔っている美月も可愛かったよ」

「……っ」


身体中の熱が顔に集中しているんじゃないかってくらい、顔が熱くて仕方ない。
そして居たたまれない気持ちになっていく。


ただ「可愛い」と言われただけなのに、どうしてこんなに顔が熱いのかな?


私ってば、どうしちゃったんだろう。


神さんの甘い視線から逃げるように俯き、声を上げた。


「あのっ! その……昨夜はあの後の記憶がありませんでして。……本当にご迷惑をおかけしました」


再度謝罪すると、神さんは気遣うように優しい声色で「本当に気にしないで」と囁いた。
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