次期社長の甘い求婚
「分かったよ、じゃあ車で待っているから」


そう言うと神さんは去っていく。

彼の背中を見送りつつ、ドアを閉めると同時に力が抜けてしまい、ドアにもたれかかってしまう。


胸に手を当てれば、心臓が驚くほど速く脈打っている。


興味なかった人なのに、なんでこんなにドキドキさせられちゃっているのよ。

今日はこの前、迷惑かけちゃったお詫びで一緒に出掛けるだけ!


何度も自分に言い聞かせ、出掛ける準備に取り掛かった。



「じゃあ行こうか」

「はい、よろしくお願いします」


戸締りを済ませ外に出ると、一昨日見た車が停まっていて、私に気づいた神さんはわざわざ車から下りてきて、この前のように助手席のドアを開けてくれた。


慣れないエスコートに戸惑いつつ乗り込むと、神さんはすぐに車を発進させた。


「少し遠くに行きたいと思っているんだけど」

「遠く、ですか?」

「あぁ、一昨日の出張先でたまたま通りかかってさ。美月と行きたいと思ったんだ」
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