次期社長の甘い求婚
この前食事に行ったときとの場所のギャップに、驚きを隠せない。


「もしかして水族館って、あまり好きじゃなかった?」


立ち尽くす私に、心配そうに顔を覗き込んできた神さん。


「いいえ、そういうわけでは……! ただ、ちょっと意外だなと思いまして」


正直に話すと、神さんは目を泳がせ困ったように頭を掻いた。


「いや、ほら……。この前美月に言われただろ? 俺の価値観を押しつけるなって」


うそ、もしかしてそれで……?


「だから片っ端からデートスポットを調べてさ。……ここがなんかいいってネットに書き込みが沢山あったから」


バツが悪そうに話す姿に、不覚にもキュンとしてしまった。


なにそれ、ズルイ。
散々この前は自分の価値観を押しつけてきたくせに。


まじまじと神さんを見てしまうと、私の視線に耐え切れなくなったのか、神さんは少し乱暴に私の手を取り歩き出した。


「時間が勿体ないし行こう」


神さんは目を伏せ足早に入口に向かうばかり。
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