次期社長の甘い求婚
そんな彼の頬や耳は目を疑うほど赤く染まっていた。


今度は照れている。

意外すぎる彼の一面に、心臓を鷲掴みされたように苦しくさせられていく。


神さんって、年上だしいつも余裕のある人だと思っていた。
最初に声を掛けられたときだって、軽かったし。


それなのに、今の神さんは……?

余裕なんて、とてもじゃないけれどあるようには見えない。

けれど余裕のない彼の方が、私はいいとさえ思えてしまった。



それから始まった神さんとの水族館デート。


「美月、ほら見てみろよ。マンボウがいる」

「これ知ってる! あれだろ? 映画に出ていた魚」


イメージを覆すように神さんの目は光り輝いていて、一緒に鑑賞しながらも、彼の表情に何度も視線は釘づけになってしまう。


「もしかして神さん、水族館に来るの久し振りだったりします?」


途中、飲み物を購入しベンチに座って休憩中に気になり問いかけると、神さんは目を泳がせた。


「いや、久し振りって言うか……初めてだったりする」
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