次期社長の甘い求婚
神さんが御曹司様だってことは重々承知していたことだけど、こうやって何気ないことでますます実感させられてしまう。


軽くカルチャーショックだ。

まさか自分で焼くお好み焼き店に入るのが初めてとか。


生活してきた環境の違いを突きつけられている気分だ。


「やべ、美味いなこれ」


けれどこうやって嫌がることなく勧めたものを食べてくれる。


一番最初の食事なんて、私のことを完全無視した食事だったのにな。


何万もするすき焼きじゃなくて、一枚千円もしないお好み焼きをふたりで分け合って食べているのだから、人生は分からないものだ。


なによりあれほど興味がなかった人のことを、今は美味しそうに食べている姿を見て“可愛い”と思ってしまっているのだから。


「美月、もっと焼いてくれ」

「分かりました、ちょっと待っててくださいね」


ぺろりと食べ終えてしまった神さんに口元が緩みつつ、また焼き始めると神さんは興味深々で焼き上がる過程を見つめていた。
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