次期社長の甘い求婚
突然現れた神さんに混乱していると、落ち着いたのか神さんは大きく深呼吸をし、ジッと私の顔を覗き込んできた。


「あっ、あの……神さん?」


その瞳はなにかを探っているようにも見え、なにより会うのは一週間ぶりだからか、見つめられているって思えば思うほど恥ずかしくなってしまう。


そっと名前を呼ぶも、神さんの視線は私に向けられたまま。


視線に耐えられなくなり泳がせてしまうと、神さんは安心したように息を漏らした。


「また泣いているのかと思った」


意外な言葉に視線を戻すと言葉同様、安心したように微笑む神さんと視線がかち合う。


「この前もここで酔って泣いていただろ? 帰る途中、美月を見て焦ったよ、また泣いているのかと思って。それにここ、美月の泣く場所なのかと思った」


最後に冗談めいたことを言って頬を緩ませる彼に、胸が鳴ってしまう。


この前のように、私を見かけたのは偶然だったのかもしれない。


けれど、心配して呼吸を乱すほど駆けてきてくれたんでしょ?

私がまた泣いていると思って。
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