次期社長の甘い求婚
神さんの優しさに触れて、胸が熱くなってしまう。

神さんはどうしてあの日、私が泣いていたかを聞いてこない。


「あのっ……もう泣いたりしませんから」

「え?」


神さんにしてみれば、「コイツなに言っているんだ?」って状態だと思う。

それでも伝えずにはいられなかった。


「覚えてくれていますか? 好きな人がいるって言ったことを」

「……それはもちろん」


少しだけ神さんの表情が揺れた。


「実はあの日、その好きな人に妹にしか見えないって言われてしまって……。それで落ち込んで沢山飲んじゃったんです」


捲し立てるように言うと、神さんは力ない声で「そっか」と呟いた。


「でもあの日、神さんが甘えていいよって言ってくれて……それで私、自分でも驚くほど次の日起きたらスッキリしていたんです」


ちゃんと伝えるんだ。私の気持ちを神さんに全て――。


突然話し出した内容に神さんは驚き、立ち尽くしたまま私を見つめてくる。
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