次期社長の甘い求婚
画面に神さんの名前が映し出されただけで、口元が緩んでしまう。


「もしもし」

『あ、美月? 今大丈夫か?』


すぐに電話に出ると、大好きな人の声が耳を燻ぶった。


再度ソファーに腰を下ろし、「大丈夫です」と答える。


「今日はもう仕事終わったんですか?」

『あぁ、どうにかな』


異動してからというもの、覚えることが沢山あるせいか、神さんの帰りはいつも遅い。

休日でも出勤しているようだし、ちょっと身体が心配だ。


「あまり無理しないでくださいね」


電話では声しか聞けず、神さんの顔色を窺うことが出来ないから、余計に心配にしてしまう。


すると電話口からは、クスクスと笑う声が聞こえてきた。


『電話すると美月いつもそれ言うよな』


「そっ、それはっ……! 心配して当然じゃないですか」


いつもだったらなかなか素直に言えないことも、顔を見ていないと言えちゃう。

会えないのは寂しいけれど、悪いことばかりではないと思う。


『当然……か。じゃあ直接会って確認してみてよ。俺が無理しているかどうか』
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