次期社長の甘い求婚
いまだに信じられず確かめるように尋ねると、息も途切れ途切れに課長は何度も頷いた。


「そうだ、社長がお会いしたいそうだ。……だから、今すぐに本社に向かってくれ」


社長……。

それだけで心臓が飛び跳ねてしまう。


だって本社にいる社長は、神さんのお父さんなのだから。


話って間違いなく神さんとのことだよね?
神さん、両親に私とのこと話したって言っていたし。


そう思えば思うほど怖くなってしまう。


「小野寺さん、ほら早く!」

「あっ、はい」


急かすように言われ、慌ててバッグを手に取った。


「仕事のことは気にしなくていいから、くれぐれも! 粗相のないようにね」

「はっ、はい」


ズイッとアップ顔が迫ってきた瞬間、しっかりと釘を刺されてしまった。


「ではいってきます」

「粗相のないように!!」


さっきと同じ言葉を繰り返す課長と、様子を見守っていた同僚達に見送られながら、オフィスを後にした。
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