次期社長の甘い求婚
そもそもこの人は一体誰なのだろうか。
この席に一緒にいるのはなぜ――?


ますます疑問が増す中、隣に座る男性は観念したように大きく息を吐くと、身体を私の方へ向けた。

そして真剣な面持ちで私の瞳を捉える。


あれ、この人……?


初めて真正面から男性の顔を捉えた瞬間、どこか見覚えのある面影に首を傾げてしまう。


ちょっと待って、やだ。……もしかして――。


早鐘出す胸の鼓動。
緊張から変な汗が噴き出してきてしまいそうだ。


私がまだ無邪気で家庭の事情を知らなかった幼い頃、家のリビングに飾られていた私が生まれたばかりの写真。
そこにはお母さんと、もうひとり写っていた。


幼い頃は誰だか分からずで、事情を聞き過敏になっていた私に配慮してか、お母さんはその写真をどこかにしまってしまったから、うろ覚えだけど……。


似ている、あの写真の人に。
それに目元……私に似ている?


バクバクと心臓が鳴る中、男性は私の瞳を捉えたまま、静かに言い放った。
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