次期社長の甘い求婚
「大きくなったな、美月」


呼ばれた名前に目を見開いてしまう。


どこか懐かしむような瞳に見据えられ、動揺を隠せない。


「ずっと会わないつもりだったんだが……居ても立ってもいられなくてな」


その言葉に心臓が大きく飛び跳ねた。――と、同時に確信を得てしまう。


まだ名乗られていないけれど間違いない、この人は私の父親なんだと。


ただ男性を見つめることしか出来ずにいる中、男性は小さく頭を下げた。


「今さら突然現れておいて父親面されるのは不本意かもしれないが、大切な娘の人生がかかった事だ。神の息子との結婚を考え直して欲しくて、神にこの場を作ってもらったんだ」


驚きすぎて言葉が出てこない。


やはりこの人が私のお父さんだったっていうことも、神さんとの結婚に反対しているってことにも。

顔を上げた男性……お父さんは、大きく瞳を揺らし悲願するように言った。


「美月には幸せになってもらいたいんだ」


幸せになってほしいって……どうしてそんなこと言うの?
どうしてお父さんがそれを言えるの?
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