次期社長の甘い求婚
「私が幸せになれないって、どうして決めつけるんですか? ずっと離れて暮らしていて一切私のこと知らないくせに、分かるような口ぶりしないで下さい」


次第に視界がぼやけてしまう。


悔しい。どうして今さら私の前に現れるのよ。
神さんとの結婚に反対なんてするの?


慌てて涙を拭った瞬間、ふと感じる視線。


やだ、私ってば神さんのお父さんがいる前で……。


「すみませっ……」


残った涙を必死に拭い、おずおずとソファーに腰を下ろした。


「いや、小野寺さんが怒るのも当然だ。コイツ……高岡はそれだけのことをしたのだから」


宥めるように発せられた言葉に、せっかく拭ったはずの涙がまた溢れてきてしまいそうだ。


「高岡、一度席を外してくれないか?」

「――え」


「まずは俺が小野寺さんとお話したいし。それに今の状況じゃ落ち着いて話も出来ないだろ?」


神さんのお父さんが言うと、お父さんは押し黙ってしまった。
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