次期社長の甘い求婚
そして少し経つと「分かった」と言い、静かに立ち上がり「呼んでくれ」と言い残し社長室から出て行った。


パタンとドアが閉まる音が響くと、一気に静寂に包まれた。


冷静になればなるほど、先ほどの自分の言動に後悔してしまう。


「すみません……」


ポツリと再度謝罪の言葉が漏れてしまう。


「いや、謝らないでください。それよりも私の方こそ悪かった。友人の必死の頼みに小野寺さんに許可も取らず、会わせてしまったのだから」


言葉が出てこず、曖昧な笑みを浮かべるしか出来なかった。


「だけどこれだけは分かって欲しい。あいつは本当に小野寺さんのことが大切で、いつも想っていたことを」

「え……」


にわかには信じがたい話に、神さんのお父さんをガン見してしまうと、少しだけ困ったようにハニかんだ。


「高岡は小野寺さんのお母さんを真剣に愛していた。それこそ全てを投げ捨てて、一から人生やり直そうとしていたくらいにね」


でも、結局はその道を選ばなかったってことだよね?
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