次期社長の甘い求婚
「本当に送らなくて大丈夫か?」

「はい、ここから近いので」


様子を見にきた神さんのお父さんとお父さんふたりに心配されるも、ぎこちない笑顔になってしまう。


それに今はひとりになりたかった。
会社に着くまでに、気持ちをリセットさせないと仕事にならないもの。


「美月、その……」


すぐに社長室を出ようとしたものの、お父さんに呼び止められ足を止めるが、なにやら言いにくそうに言葉を濁すばかり。


すると隣に立っている神さんのお父さんは察したのか、口元を手で覆い笑いを堪えながらも、代弁してくれた。


「高岡が言いたいのはこうだ。できればこれからも会いたい。――だろ?」

「え……」


神さんのお父さんに言われお父さんは面食らいつつも、図星だったのか目を忙しなく泳がせ、静かに問いかけてきた。


「もちろん美月がよければ……の話だが。嫌ならいい」

お父さん……。


「そうだな、それならまたこっそり今まで通り、ストーカーの如く盗み見ればいいだけの話だしな」

「っ神!」
< 303 / 406 >

この作品をシェア

pagetop