次期社長の甘い求婚
「もう……!」


顔だけ後ろに向ければ、意地悪そうな顔をしている神さんと目が合う。


「いいだろ? 明日からまたしばらく会えなくなるんだから。……今のうちに美月補充、たっぷりさせて」


美月補充なんて……。


「じゃあ私も神さん補充、たくさんさせてください」


そっと囁き、身体の向きを変え正面から彼に抱き着いた。
浴槽に張ってあるお湯が溢れ、小さな波が起こる。


たくさん補充していきたい、神さんのぬくもりも声もすべて全部――。


ギュッとしがみつく力を強めると、神さんも答えるようにきつく抱きしめてくれた。


「どうしたんだ? いつもの美月らしくない」

「そんなことないです。……私だって、明日からまたしばらく神さんに会えなくなるの、寂しいから」


浴室に響くお互いの声。

どちらからともなく身体を離し、唇を重ね合う。


髪が濡れて水滴が滴る神さんは、かっこよくて胸を熱くさせる。


キスの合間、いつもより色づく神さんの頬にそっと両手で触れた。


「神さん……好き」


気持ちを伝えれば、神さんは嬉しそうに目を細め唇を塞ぎながらも「俺も美月が好きだよ」と囁いてくれた。
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