次期社長の甘い求婚
「神さんが誰よりも努力していること、知っています。だからこそ無理して欲しくないんです。……今はただ、仕事を頑張って欲しい」


きっと私の知らないところで、何度も嫌な思いや辛い経験をしてきたはず。
それでも頑張る神さんの努力が、実ってほしいから……。


「もちろん仕事は頑張るよ。それと同時に美月のことも。……大丈夫、美月はなにも心配しなくていい、そばにいてくれるだけで。それだけで俺は頑張れるから」


安心させるように抱きしめられ、涙腺は崩壊してしまう。


だめだな、決心して来たのに。
嬉しい言葉に決心が揺らいでしまいそうだ。


「じゃあ……約束、してくれますか?」


涙を拭い鼻を啜った後、小さく深呼吸し神さんを見上げる。


すると神さんは甘い瞳で「ん?」と問いかけながら、優しく目元に残った涙を拭ってくれた。


「どんなことがあっても、立派な社長になってください。……神さんならみんなに愛されて信頼される社長になれるはずですから」


笑顔で言うと神さんは一瞬面食らったものの、すぐに表情を崩した。


「分かったよ、約束する。……じゃあ俺とも約束してくれる?」

「え?」


予想外の返しに戸惑ってしまう私に、神さんは言った。


「どんなことがあっても、俺のそばから離れないで欲しい」
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