次期社長の甘い求婚
真剣な瞳で言った後、すぐに笑みをこぼすと「まぁ、例え離れていかれても、全力で見つけるけどな」なんて言うものだから、つられるように笑ってしまった。


一緒になって笑っている中、心の中で何度も何度も神さんに謝る自分がいた。

だって私には、神さんの言う約束を到底守れそうにないから――……。



次の日――。


「悪いな、本当は東京まで送ってやりたかったんだけど……」


駅のホームで神さんは私の荷物を持ったまま、申し訳なさそうに謝ってきた。


「ここまで送ってもらっただけで十分です」


首を横に振り、そっと神さんから荷物を受け取った。


「明日朝が早くなかったら送っていけたんだけどな。……気をつけて」


「フフ、大丈夫ですよ。新幹線に乗ればまっすぐ東京ですから」


心配性な彼に笑ってしまった。


「それでも心配して当然だろ? ……着いたらちゃんと連絡しろよ」

少しだけふて腐れながらも優しい瞳を向けてくれる神さん。


この表情も好きだな。……神さんが笑った顔は全部好き。


感情が込み上げてきてしまい、泣きそうになるのを必死に堪える。


「分かりました、着いたらすぐに連絡しますね。……お仕事、頑張ってください」
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