毒舌王子に誘惑されて
帰りがけにサブリナ編集部に寄るつもりでプロフィールブックをバッグにしまってから席を立つ。
ちらりとまだ残っている葉月君の姿が視界に入った。どうやら、別の企画に取り掛かっているみたいだ。
何か言うべきだろうか。そう思ったけど、迷った末に結局は何も言わず立ち去ることにした。
今、口を開いても、きっと恨みがましい愚痴しか出てこない。
出来ない女の言い訳なんて、葉月君も聞きたくないだろう。
眠気でクラクラする頭を抱えて、サブリナ編集部に向かう。 同じ社内なのにエレベーターを降りた瞬間から空気が違う。
香水や化粧品の香りが鼻をかすめる。
急に徹夜明けでボロボロな自分の姿が気になりだした。
サブリナ編集部の皆には、こんなみっともないところは見せたくなかった。
せめてファンデだけでも塗り直そうか。
そう思って、私はトイレへ向かう。
個室から出ようと鍵に手をかけた時、
キャーキャーというはしゃいだ声が聞こえてきた。
女の子が数人トイレに入ってきたみたいだった。
「でも、小清水さんの大抜擢には驚いたなぁ」
「ねっ。20代で副編集長って最年少記録らしいよ」
よく通る高い声で話すので、しっかりと聞き取れた。声だけじゃ誰かはわからないけど、サブリナ編集部の子達だろう。
盗み聞きしているようで居た堪れない気持ちになって、慌てて出ようとしたその時だった。
ちらりとまだ残っている葉月君の姿が視界に入った。どうやら、別の企画に取り掛かっているみたいだ。
何か言うべきだろうか。そう思ったけど、迷った末に結局は何も言わず立ち去ることにした。
今、口を開いても、きっと恨みがましい愚痴しか出てこない。
出来ない女の言い訳なんて、葉月君も聞きたくないだろう。
眠気でクラクラする頭を抱えて、サブリナ編集部に向かう。 同じ社内なのにエレベーターを降りた瞬間から空気が違う。
香水や化粧品の香りが鼻をかすめる。
急に徹夜明けでボロボロな自分の姿が気になりだした。
サブリナ編集部の皆には、こんなみっともないところは見せたくなかった。
せめてファンデだけでも塗り直そうか。
そう思って、私はトイレへ向かう。
個室から出ようと鍵に手をかけた時、
キャーキャーというはしゃいだ声が聞こえてきた。
女の子が数人トイレに入ってきたみたいだった。
「でも、小清水さんの大抜擢には驚いたなぁ」
「ねっ。20代で副編集長って最年少記録らしいよ」
よく通る高い声で話すので、しっかりと聞き取れた。声だけじゃ誰かはわからないけど、サブリナ編集部の子達だろう。
盗み聞きしているようで居た堪れない気持ちになって、慌てて出ようとしたその時だった。