毒舌王子に誘惑されて
「でもさ、私は副編集長は佐藤さんかなって思ってた。 まさか週刊誌にいっちゃうなんてね〜」
「あー、たしかに。 でも、佐藤さんより小清水さんのが良かったと思わない?
なんか佐藤さんて頑張りすぎってゆうかさ」
「わかる、わかる!! 仕事もファッションも気合い入り過ぎだよね。 彼氏いないんだろうなーって感じ。
その点、小清水さんはプライベートも充実してるっぽくて憧れるな〜」
想定外のカウンターパンチに私は打ちのめされた。
同性からの評価は異性からのそれよりずっとシビアで、褒められれば自信になるけど逆は深い傷となる。
あーぁ、ちっぽけな見栄の為にトイレに寄ろうなんて考えなきゃよかったな。
笑おうとして顔の筋肉を動かしてみたけど、ちっとも笑えなかった。
結局出るに出れなくなって、彼女達がトイレを出て行くまで私は気配を消して個室にこもっていた。
ドラマに出てくるお局様みたくバーンと扉を開けて出て行って、文句の一つも言ってやればスッキリするのに・・
そんな勇気も持てない。
それどころか、何もなかった顔してサブリナ編集部に顔を出す自信もなくて、プロフィールブックをバッグにしまったまま逃げるように会社を出た。
部屋に入るなり、着替えもせずベッドに
倒れこんだ。
1DKの、もう5年も住んでいる一人暮らしの部屋。最近は忙しくてまともに掃除してないから、床にはうっすらと埃がたまっていた。
インテリアにこだわりはないけれど、短時間でも質のいい睡眠が取れるようにと引越しと同時にベッドだけは高級なものに新調した。
いつもはふんわりと私を包み込んで癒してくれるそのベッドですら、今日は石のように硬く、全力で私を拒んでいた。