吸血鬼に甘い鎖を
『…咲…。
本当のこと、言ってくれ』


赤色の瞳が揺れる。



不安で不安でたまらないって、
私の身体をぎゅうっと
握ってる。




私は何もできずに
黙っていた。



「…ま、俺にとっちゃ
有利な展開だけど。

今回はこの辺にしといてやる。

じゃぁな」


そう言って消えていった。




シーン…。



沈黙が続いて、
時間が流れた。





『…咲。

なんで泣いてたんだよ…?』




…だめだよ、言えない。




これは別にクロト君の
せいじゃない…。




言わなかったのもきっと、
訳があるんだから。





「…ごめん」


何も言えないよ、


って言わずにその一言だけ。



クロト君は一度だけ
私を見つめ、



そして額にキス。





何も言わずに、私を家へと
送ってくれた。
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