吸血鬼に甘い鎖を

つながる絆

「…はぁ」



クロト君、どうしてるかな。




クロト君がいる部屋を見つめながら
そんなことを思った。




いまさらどう思ったって、
私のせいなんだから
仕方ないんだけど。



「あーあ。
なんで私あんなこと言っちゃったんだろ」



クロト君に聞かれても…



本当のことを言えば
すんでいたかもしれないのに。



…ううん、違う。



本当は、怖かったんだ。




クロト君に


泣かすぐらいなら俺は必要ないな、って


言われるのが怖かったんだ。





だけど…







「…もう意味ないね、【契約】なんて」



二人の仲が切れちゃったら…



【契約】してたって、
意味ないよ。









涙がこぼれてきて
とまらなくなる。





ぽたぽた、と小さな音をだして
落ちる涙は、
木の床に吸い込まれるように消えていった。




「…ふっ…うっ…」




…私、こんなにクロト君のこと
好きだったんだ。






いつからだったんだろうね…?







クロト君のこと考えるたび、
胸がドキドキするよ…。







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