恋に目覚めたシンデレラ
いつの間にか滉の前にあったスイーツは無くなっていてお皿とフォークだけが残っていた。
「全部、食べたんですね」
「全部食べ終わるまで葵さんが帰ってはダメだと言ったから頑張って何とか最後まで食べました。
待たせてしまいすみませんでした。
この後ですがまだ時間があるし美術館に行きませんか?」
「美術館ですか……それは来週末の予定でしたよね?」
「どうせ時間があるんです。予定を変更してこれから付き合って下さい。それに今の葵さんにはあの絵が必要なようだし」
あの絵が必要なようだし……
「それはどういう意味ですか?」
滉さんの言葉に引っ掛かりを感じた。
「他意はないです。暫く絵に向き合う事がなかったから今日はとことん向き合ったらいいと言いたかったんです。葵さんそろそろ出ましょうか」
店員が頬を赤くして滉さんを見つめていた。
「当店のスイーツは気に入って貰えましたか?」
会計をしている間に店員は滉に話しかけてくる。
「ええ、とても美味しくいただきました」
「ありがとうございます!」
店員は滉さんから返事を貰うと目を輝かせて嬉しそうにしていた。
スイーツを誉めてもらったからか滉さんと話せたからなのかどちらにせよ
滉さんの笑顔が外に向けられたのを見たのはこれが初めてだった。