恋に目覚めたシンデレラ


葵は給湯室を出ると更衣室で着替えをして会社を出た。


「遅かったですね」


「出るのが少し遅くなったんです」


「何かあったんですか?」


「何も……ありません」

言えなかった。
矢嶋くんと話したといえば滉さんは気分を悪くすると思った。


「そうですか……。そういえば葵さんを迎えに来る前に矢嶋から電話がかかってきました……」


「……っ!!滉さんごめんなさいっ」


「いつも言ってますよね?何でも話してほしいと何も話してくれなかったら葵さんに何かあった時に守れない。これからは何かあったら隠さずに話しくれますね?約束して貰えますか」

逆の立場なら……
やっぱり葵も滉と同じだと思った。
隠し事をされるのはいい気分ではない。


「約束します」


「この前あなたに会社の様子を訊いたら別の仕事をするようになったから矢嶋と話すことはなくなってホッとしたと言っていた、それに矢嶋は部署を異動すると聞いたからある程度は安心していたんです。
それが今日、矢嶋から葵さんと最後に話したいと電話がきた。
あれだけ恐怖を感じていたのに葵さんが矢嶋と話したのは……どうしてですか?」












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