恋に目覚めたシンデレラ
「そうですか、お料理を作るのが苦手なのは残念ですが気にしなくても良いですよ。
ただ……想像をしてしてしまったんです」
晃さんは一体どんな想像をしたの……
「……何をですか?」
「想像の葵さんはお料理をキッチンでしていました。そこに……」
なぜか滉は言いよどむ。
「私がお料理をしていてそのあとは何ですか?」
「コホン、とにかくエプロン姿が似合っていて可愛いかったです」
なんだろう……滉さんなんかごまかした?
「そうだ。用意をした部屋に何か不満があれば遠慮なく言って下さい」
「大丈夫です」
「遠慮なさらずに何でもおっしゃってください」
アパートにいるときと変わらずに使い良いように家具も配置して貰ったし。
配慮して貰ったのだと解れば不満になど思うわけない。
晃さんは悪い人ではなさそうだと思えた……ちょっと強引ではあるけど。
「葵さん?……聞いてますか?」
「はい?」
「どうしたんですか具合でも悪いですか?」
「具合?悪くないです」
「急に黙ってしまうし様子が変だったので調子が悪いのかと心配になったのですが」
つい考え事に没頭してしまったらしい。
「大丈夫ですから」
「ちょっと失礼?」
へ?
晃さんとの距離が縮まった。
……あっ……。
晃さんの手が私の額に充てられた。
予想外のことに身体は固まってしまう。おまけに心臓が早打ちし出した。
「熱はないようですね……」
「熱なんてないですっ……あのっ私、部屋に戻ります」
晃さんはスッと身を引いた。
「構わないですよ。お風呂に行くのなら浴室に必要なものは全て揃っています」
「わ、解りました。ありがとうございます」
「葵さん」
呼び止められて振り向いた。
「部屋にはそれぞれ中から掛けられる鍵も付いています心配なら使って下さい」